お布施とは?
今年も春のお彼岸が過ぎて行きました。当山でもお中日に信行会を行いました。時節柄お彼岸のいわれや六波羅蜜(悟りを得る為の6つの仏道修行、布施、持戒、忍辱、精進、禅定、智慧)について檀信徒の皆さんとお話をしました。その中の『布施』についての話の時です、「布施とは人に金品を施すことだけではなく、教えを説いたり、相手の不安を和らげたり、笑顔で安心を与えることなど様々な布施があり仏道修行の1つです」「お坊さんに渡すお包みのことだけではないんですよ」とお話をし、「読経に対する対価ではないのですから表書きに『御経料』と書くより『御布施』と書く方がよいですね」とお話ししました。信行会参加の皆さんは、「そうなんですね、今日は勉強になりました」と口々におっしゃっていました。
数年前ある企業がお坊さん紹介サービスとお布施の価格目安を表示したことがあります。最近ではネット通販大手の企業がお坊さんの派遣サービスを始めました。法事法要などを定額でお勤めする僧侶を手配出来るとのことです。当然ですが仏教会は「宗教行為の商品化」として批判をしています。
本来お布施の価値は、人それぞれ違います。私たち僧侶は法施(法事や葬儀などで僧侶が読経や法話など仏様の教えを説くこと)としての布施をして、檀信徒の皆さんは、それぞれの経済的な事情や立場などで財施(法事や葬儀などで金品などを感謝の気持ちとしてお寺にする布施)として包んでいただくわけです。
もちろん私のような僧侶の説明不足は反省しなければなりません。しかし法施としての布施、財施としての布施、六波羅蜜の1つである布施、それぞれの意味内容を伝え理解してもらう必要がまだまだ足りないようです。少しでも「御経料」と表現されることが無くなるように努力していきたいものです。
金子延生
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