~ビハーラ活動から学ぶ~介護
日蓮宗にビハーラネットワーク(通称NVN ホームページ www.nvn.cc)という団体を通じたビハーラ活動があります。ビハーラとは「生・老・病・死」などの苦しみや悲しみを抱えた人に寄り添い、少しでもその苦悩を理解して和らげようというものです。長年この活動に携わって多くのことを学びました。特に大切な人を亡くした方々と接する中で共通して感じたことがあります。〈どのような心持ちで看護・介護に携わったか〉〈故人がどのようにして看取られたか〉〈どのようにして故人との最期を迎えたか〉が悲しみの大きさに左右するということでした。
私は93歳になる母親の介護をしています。幸いに目と耳は日常生活には不自由なく、足も介助があれば杖無しで歩いています。さすがに短期記憶は衰えましたが、百人一首や昔の歌の歌詞は3番まで諳んじるほど元気です。少しでも心地よく過ごせるように服装や髪型に気を配り、90歳までは健康の為、毎日のように池上本門寺まで手を引いて散歩に出掛けていました。
しかし、なんということでしょう!1年半の間に肩と腰を2度も骨折してしまいました。よく、「骨折したら最後、寝た切りになるから気を付けて」と言います。「私がついていながら」とか「転んでもいないのに」とか「あんなに気を付けていたのに」と、本人の痛みもさることながら家族としては大変なショック!自責の念でいっぱいです。せめてもと、朝に、夕に、寝る前に、毎日しっかりリハビリの介助をしたところ驚異的に回復してくれました。先ずはやれやれ一安心ですが、油断大敵、片時も目を離せない毎日となり、私の自由に使える時間が日に日に少なくなっていきました。
しかしある時、親のためにやっている介護は、実は自身の為でもあることに気付かされたのです。地域のケアマネージャーさんやデイサービス、周りの方々の力を借りながら、〝させていただく〟という気持ちを忘れずに、皆が楽しく幸せに暮らせる介護を目標に日々精進して参りたいです。
髙平 妙心
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